2018年度の活動総括

 2018年度を振り返って、大きな総括点のひとつは、これまでスクラムユニオン・ひろしまとして掲げてきた「組合員200名を達成する」という方針を実現したことである。 昨年7月、出雲でブラジル人50名が結集してスクラムユニオンの説明会を行い、引き続いてアバンセ分会、フジアルテ分会を結成した。また、9月には山口県下松市の日立製作所で働くフィリピン実習生たち99名が、大量解雇・強制帰国という局面に立たされた。この中で、フィリピン実習生たち84名がスクラムユニオンに加盟した。
  また、一昨年来の愛トラベル労組の単組加盟、瀬戸内バス分会の結成などを背景に、本四バス分会が結成された。さらに三同分会がスクラムユニオンに加盟し、観光バス、長距離輸送部門の組合員が増大した。これらの要因が、組合員200名の組織化につながったのである。もちろん、これまでスクラムユニオン・ひろしまを支えてきた西部リサイクル分会、パルタック分会や、ふれあい交流会などに係わってきた分会員たちの定着化が底流にあることを忘れることはできない。
 200名の組織化は偶然の産物ではなく、これまでの活動の蓄積の上に勝ち取られた
 出雲での分会結成に至る過程では、3年間にわたっての個別相談を受けながら、ひとつ
ひとつ丁寧に解決してきた実績がある。そこで醸成された信頼関係があったからこそ、職場でのパワハラなどの矛盾に対する不満をきっかけにスクラムユニオンへの結集へと向かったのである。
 日立製作所でのフィリピン実習生たちの結集も、かつてベランダから転落して背骨を骨折した一人の実習生が強制帰国させられそうになっていたところを救ったことが契機となっている。その時構築されたカトリック教会の皆さんとの信頼関係がなければ、今回の闘争は成功しなかったと言える。
 本四バス分会の結成にしても、愛トラベルでのDさんの解雇撤回闘争勝利を出発点として、瀬戸内バス分会の結成と闘争がなければ実現していなかったと言えるだろう。三同分会の加盟もこれまで培ってきた信頼関係がなければ実現することはなかった。
 結論的に言えば、スクラムユニオン・ひろしまとして築き上げてきた労働者との信頼関係が基礎となって、方針実現につながったのである。そうであるが故に、スクラムユニオンのこれまでの活動に自信と確信を持ち、さらなる前進を勝ち取っていかねばならない。
 今後の課題と方向性
 われわれが成果として確認したことがそのまま何の苦労もなく継続できると考えてはならない。例えば、組織されたフィリピン実習生たちは過半が帰国させられてしまった。残った実習生たちも数年の後には帰国して組合に残ることはない。ただ、「日本にはスクラムユニオン・ひろしまという実習生たちの側に立ち、自分たちの人権と労働条件、労働環境を守る組織がある」 という事実と情報が実習生たちの中に必ず残る。そして、そのことが次の飛躍へと必ずつながる。
 また、多くの分会が組織されたことは、スクラムユニオンの活動に質的変化をもたらすだろう。それはどういうことか。今後、多くの会社、資本に対して、組織的、恒常的闘いに取り組んでいかねばならないということである。
 われわれは地域ユニオンの特性として、個々の労働者の駆け込み寺的な役割を多く果たしてきた。それは解雇問題であったり、賃金未払問題であったり、労災、パワハラ、セクハラといった問題に対する対処・解決であった。こうしたことはなくなることはないし、基本的な活動として存続することは間違いない。だが、それとはまた質の異なった組織的な闘い方が求められてくることになる。例えば、分会組織をまとめること、分会組織を拡大すること、分会内部の個々の矛盾を解決すること、会社との恒常的な関係の構築、闘争の組織化などである。こうした闘いに習熟していかなければならない。
 以上のような、これまであまり経験してこなかった闘いをすみやかに、力強く前進させるためには、スクラムユニオンの組織的対応力、とりわけ執行委員会の方針統一、組織的機能化、連絡体制の強化が求められるし、実践的な経験の蓄積と共有化が必要となってくる。今年度の闘いの中で、こうした課題と方向性が求められていることを多くの組合員にしっかりと認識してもらいたい。

 情勢の特徴
 現在、過渡期の激動が目に見える形で繰り広げられている。過渡期とは、ここ1~2年のことではなく、20~30年のスパンと考えておく必要がある。
 トランプが大統領選に勝利したという事実は、アメリカ一国による世界支配の終焉をきわめて劇的に示した。ソ連邦の崩壊以後、アメリカの覇権が確立し、むき出しの資本主義=新自由主義・グローバリズムが世界を席巻した。ところが、「満ちれば欠ける」のが世の習いである。わずか30年足らずの間に、アメリカの支配は崩れ落ちていった。中国の台頭、EUの拡大と発展、イスラム諸国の民族主義、民主主義の発展、ロシアの挑戦などが、アメリカの支配を揺るがしていった。この流れは大きくなることはあっても弱まることはない。中米の貿易戦争についても、朝鮮半島をめぐる情勢の変化にしても、また、イギリスのEU離脱にしても、このような脈絡からの理解が必要である。
 安倍政権のもくろみ
 すでに何度も指摘してきたように、安倍は、秘密保護法の制定、戦争法、共謀罪と立て続けに国内治安立法を成立させ、集団的自衛権行使を含め、現行憲法をなし崩し的に破壊してきた。そのひとつの到達点として、明文改憲に挑んできた。特に9条に自衛隊を明記することは平和憲法を根本から変質させることにつながる。さらに緊急事態条項の創設は、ワイマール憲法からナチスが権力掌握に向かったことを念頭に進められている。安倍は決して改憲を諦めてはいない。今年は憲法をめぐり、また、労働法の改悪をめぐり激しい攻防が繰り広げられることは疑いない。
 天皇制を政治利用しての国内統一を図ろうとする試み
 5月1日はメーデーである。メーデーとは、1886年アメリカシカゴの労働者たちが血を流して8時間労働制を勝ち取った歴史を記念した日である。この5月1日に、天皇の退位と即位をぶつけてきた安倍の狙いははっきりしている。5月1日はメーデーではなく、「平成」から「令和」へと移行した記念日なのだとせせら笑う安倍の顔が浮かぶではないか。これほどまでに愚弄された労働運動を改めて捉え返さねばならない。現実にマスコミを総動員して行われた元号騒動は異常であった。あたかも他に何も重要なニュースはなかったかのようである。すべては安倍政権のでたらめさを覆い隠すための政治ショウであった。そして、万世一系の天皇制の下で、単一民族を形成している大和民族という神話を振りかざし、排外主義とナショナリズムを引き起こすためであった。
 安倍政権の持つ反民主主義的で国家主義を目指したやり方に対して、平成天皇は「民主主義的」で「平和主義的」に見えかもしれないし、ひょっとすると天皇は個人的にはいい人間かもしれない。しかし、天皇であり、天皇制の中での人格に幻想を持つことはできない。まして、天皇に依拠して民主主義や平和を実現しようなどと考えることは重大な誤りである。天皇と天皇制がある限り、労働者は自由ではあり得ない。天皇制は廃止し、少なくとも民主的な共和制を目指すことが必要である。
 何が問われているのか? 
 立憲主義・民主主義か、国家主義か。明らかに、日本の国家の未来を占う選択が問われている。安倍はすでに独裁者のように振るまい、国会審議さえ形だけのものにしている。立憲主義・民主主義を守り、安倍のもくろむ「戦争のできる国」=国家主義を打ち砕くことが必要である。そのための闘いとして、各地で繰り広げられている「総がかり行動」、9条改憲に反対する3000万人署名行動を活用し、大胆に大衆の中に入っていくことが求められている。そして、今年は参議院選挙が行われる。この中で、安倍政権に痛烈な打撃を与えなければならない。安倍政権打倒に向け、行動を起こしていこう。
 国民投票に備えて、世論戦を巻き起こそう
 安倍は「戦争のできる国」へ向けて、改憲発議を諦めていない。日本会議が主催する改憲集会では、2020年に改憲を成し遂げるという決意を改めて明らかにした。改憲発議・国民投票という流れが現実化しようとしている。このような政治状況の中で、われわれは何をなすべきか?とりわけ、労働組合としてどのように立ち向かうのか?
 国民投票がどのように行われるのか、われわれには経験もなく、想像がつかない。だが、はっきりしていることは、憲法をめぐって多くの国民が選択を迫られるということである。その過程では、否応なしに国民大衆が政治の世界へと引き込まれざるを得ない。このことは決して悪いことではない。ただ、結果として正しい選択が行われるかどうかは別の問題である。安倍の改憲を阻止して憲法を守るために、闘争を組織しなければならない。その一つの結節点が、この夏の参議院選挙である。少なくとも護憲派勢力を3分の1以上獲得しなければならない。
 国民的レベルで、正面から憲法問題が問われることは戦後初めてであり、われわれも性根を据えて全面的に闘い、勝利しなければならない。
 安倍働き方改革に反対しよう
 安倍は昨年の通常国会において、「働き方改革法案」を強行採決し、一気に通過させた。「残業時間の上限規制」とか、「同一労働同一賃金」などともっともらしいことを並べながら、「残業代ゼロ法案」(高度プロフェッショナル制度)を通した。「解雇の金銭解決法」(首切り自由法案)や裁量労働制の導入は、できなかったが、安倍政権が諦めたわけではない。今も準備が着々と進められている。これらの法案が成立させられてしまったら、労働者の権利はすべて奪われてしまう。資本からすれば、労働者を働かすだけ働かしても賃金支払いを免除され、逆らう者は労働現場から駆逐することができる。まったくの奴隷的な、暗黒の世界が現出することになる。まさに「世界で一番資本が活躍できる国」の行き着く先である。
 安倍が進める「戦争のできる国」と「資本が活躍できる国」とは、労働者がものも言えぬ国であり、搾取される自由だけが残る社会である。安倍の働き方改革に反対し、労働者の権利を守り抜く闘いを構築しよう!
 労働者階級の状態
 労働者の生活状況は一層悪化している。非正規雇用労働者が全雇用労働者に占める割合は4割を超え、過去最大となっている。すでに2100万人を超えている。加えて、年収200万円以下の労働者、いわゆるワーキングプアと呼ばれる労働者は1000万人を超え、全労働者の24%以上を占めてきている。なかでも若年労働者と女性労働者に矛盾が集中している。女性の非正規雇用は57.5%にも及ぶ。失業率の改善や「労働力不足」は、非正規雇用の拡大と低賃金労働者の不足が言われているに過ぎない。一言で言えば、労働者階級の相対的・絶対的貧困化が激しく進んでいる。
 他方で、企業は空前の利益を上げている。リーマンショック時に若干落ち込んだものの大手製造業の利益はバブル期のピークを越え、内部留保は460兆円(2018年度財務省発表)とも言われる。労働者階級の窮乏化の対極には、紛れもなく大独占資本の肥大化が存在している。
 労働者階級の無権利化と安倍の進める戦争政策=国家主義化とは、車の両輪である。
 東日本大震災・福島第一原発事故を忘れてはならない
 2011年3月11日の東日本大震災、引き続く福島第一原発事故の発生から8年の年月が経った。われわれはフクシマを忘れてはならない。これは日本社会のあり方を問いかける歴史的な事件であり、歴史的な転換点であったのだ。にもかかわらず、安倍政権は、反原発・脱原発に逆行し、原発再稼働、原発新設を積極的に推し進めている。安倍は福島第一原発事故から何も学ぼうとせず、電力会社や原発事業に係わる大独占資本の利益を守ることに必死となっている。
 「核と人類は共存できない」。これは真理である。ひとたび原発事故が起きれば、人類はなすすべを知らず、生活することができなくなってしまう。原発から排出される放射能廃棄物の処理方法さえ持っていない原発事業は行き詰まることが明らかである。原発事業を終わりにし、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーへの転換を推し進めていかねばならない。
 
 2018年度の活動を振り返って
 今年度も多くの闘いを組織してきた。その中でも、組織的に総括しておかなければならないいくつかの闘争を取り上げ、活動総括に代えたい。今年度の活動の中で、日立製作所笠戸事業所でのフィリピン実習生大量解雇・強制帰国の問題は最大の闘争であった。

 日立製作所笠戸事業所における大量解雇・強制帰国
 今回の事案の概要
 日立製作所笠戸事業所では約300名のフィリピン技能実習生たちが働いていた。その中で99名が解雇の対象となった。2018年9月20日に第1陣の20名が、同年10月10日に第2陣の20名が解雇となり、同年11月7日・8日には第3陣、第4陣の59名が解雇された。
 そもそも、フィリピン実習生たちは制御盤や配電盤を作る「電気機器組み立て」の技能を学ぶ目的で入国していた。ところが、実際の仕事はパイプを運んだり、窓枠を運んだり、電線を一定の長さに切って車両の必要なところに並べて結束するといった仕事ばかりで、配電盤や制御盤の仕事は2号ロへの移行試験前に1週間ほどやっただけだった。
 今年7月5日に、外国人技能実習機構が監査に入り、この実習内容について調査した。この結果はいまだに明らかとなっていない。不正実習があったと認定され、受入停止などの処分が下されれば事態は明確となる。
 その後、日立製作所が実習機構に提出した実習計画は許可が下りず、実習生たちは2号ロの実習に移行できなかった。日立は、「実習機構が実習の許可を下ろしてくれず、その間に在留期間が来たので、とにかく帰国させるしかないので解雇した」と主張している。あくまでも不正実習があったとは認めていない。
 だが、このことによって、最も被害を受けたのがフィリピン実習生たちである。何らの落ち度もないのに実習停止となり、突然の解雇・帰国という事態に直面してしまった。
 すでに2018年11月18日には、第1陣の20名が帰国を余儀なくされ、12月7日には、第2陣の20名と第3陣・第4陣の中で帰国を希望する5名を含めて計25名が帰国した。第3陣・第4陣のメンバーは、12月20日のクリスマス前と2019年2月5日の2回に別れて帰国した。
 事態の推移
 2018年9月23日に下松のキリスト教会でユニオンの説明会を開いてほしいという依頼が来た。当日、土屋みどり書記長が外国人技能実習生を支援する会の前会長である小松さんと一緒に、下松のキリスト教会に出かけた。そこには40名を超えるフィリピン実習生が集まっていた。彼らの口から出た訴えは、とんでもない事実であった。
 99名の解雇と4次にわたる強制帰国
 日立製作所笠戸事業所で働くフィリピン技能実習生のうち99名の実習生たちが4次にわたって大量解雇され、強制帰国させられようとしていた。
 第1陣の解雇者は20名で、すでに入管で「出国準備」のアプリケーションが行われており、在留期間は30日、在留カードにはパンチが開けられていた。この20名については就労もできない状態となっていた。帰国予定日は10月20日である。彼らについては9月20日に解雇、同日付で1か月分の解雇予告手当の支払い通知が出されていた。本人たちも何が起きているのか分からず、中には自分たちが帰国しなければならないことを理解していない人たちもいた。
 まず、集まった技能実習生たちに現状の説明を行い、「技能実習生は3年間の契約で来日しており、今回のように実習生にまったく責任がなく帰国させられる場合には、会社は残りの期間の賃金を支払う必要があること、また、管理責任を果たせなかったフレンドニッポンには慰謝料を求めることが可能であること」を伝えた。そして、この後の対応として、①会社にこれまでの経過説明をさせること。②会社に逸失利益の損害賠償をさせること。③全員で団結して会社との交渉に臨むこと。④スクラムユニオンに加入して闘うことを確認した。
 60名のフィリピン実習生たちがスクラムユニオンに加盟
 この場に参加していた40数名のフィリピン実習生たちは説明を受けて、すぐにスクラムユニオンに加盟した。集会に参加していなかったメンバーに対しても呼びかけが行われ、さらに加盟書が届けられた。年内に4次にわたって強制帰国させられる99名中6割のメンバーがスクラムユニオンに加盟した。(9月25日段階、後に84名となった)
 時間が切羽詰まっているので、すぐさま日立製作所に組合加盟通知書と団交要求書をファクスと郵送で送付した。日立製作所からの回答はきわめて高圧的なもので、団交時間の制限、団交出席人数を3人と制限、組合加盟メンバーの名簿提出、団交内容の第三者への口外禁止など、ふざけたものであった。ただ、まずは団交を行うことが優先される状況の中、組合員名簿の提出だけを拒否して日立の要求を飲み、団交を設定した。
 2018年10月4日には第1回団交が行われた。普通、団交では名刺交換から始まるが、日立の団交出席者は名刺も出さず、名前を名乗るだけで役職名も明らかとしなかった。しかも、冒頭に団交内容を第三者に明らかにしないという誓約書を書かせるなどという、きわめて屈辱的なものであった。団交では、この間の経緯と事情説明、なぜ、この99名が解雇・強制帰国させられねばならないのか?3年間の技能実習期間で本来獲得できたはずの賃金を補償させることなどが主議題となった。
 損害賠償・慰謝料請求訴訟を見据えて
  強制帰国させられるフィリピン実習生たちの多くは、「日立製作所」という大企業の名前を信じて、日本での技能実習を選択して来た。ところが、実際の仕事は単純肉体労働で、裏切られたという思いが強い。その上、わけも分からぬ中で、解雇・強制帰国が強行されようとしている。1年間の実習で得た賃金では、日本へ来るための実費を補填するだけで精一杯ということもある。日立製作所やフレンドニッポンは、契約更新が1年ごとに行われていることをもって、賃金補償などする必要はないと実習生たちに伝えていたが、わずか1か月の解雇予告手当で済む問題ではない。
 われわれは団交と並行して、最悪の場合、損害賠償請求訴訟を起こすことを見据えて準備を進めていった。弁護団として、足立弁護士、西弁護士、近藤弁護士にお願いし、対応してもらった。また、第1陣のメンバーからは、弁護士への委任状と訴訟委任状を受け取り、陳述書を書いてもらった。ただ、裁判となれば、時間とお金がかかることもあり、できるだけ団交で決着をつけようと考えていた。
 フィリピン実習生の権利を守るために
 団交を行うと、解雇問題についてはそれほど争点とならないことが分かった。実習機構が実習計画を認めて許可すれば、すぐにでも実習再開すると日立側が明言したからである。しかし、在留期限が来たので解雇せざるを得なかったという主張であった。それならば解雇するのではなく自宅待機という形で休業補償を行い、実習中止となれば残日数の賃金補償を行なえばいいではないかと主張したが、平行線のままであった。
 ただ、連続した団交の過程で、日立側の変化が生まれてきた。これは多くの新聞社やテレビなどの報道によって、大きな社会的世論が喚起されたこと、並びに訴訟の現実性が高まったことが影響したのではないかと考えている。
 日立側から出てきた補償案は「実習中止となれば、実習ができなかった期間の基本賃金分は補償する」というものであった。ユニオンとしては、残りの実習期間=22か月分の補償を、年内までに、あるいは実習中止の判断が実習機構から出た時のいずれか早い段階で行なうよう要求した。結論として、日立製作所がこの要求を飲むことで結着した。
 2018年10月31日、山口県下松市で行われた第5回の団交において、日立製作所笠戸事業所との間で基本的な合意が成立した。合意内容の主なものは、今回解雇されたフィリピン実習生たちの逸失利益に当たる22か月分の基本賃金100%を支払うというものである。11月12日付けで合意文書が交わされた。
 意外な展開
 11月30日に、実習機構が日立笠戸事業所に再度調査に入った。そして、12月4日、第3陣・4陣の解雇者の内26名に対して、実習再開の許可を下した。理由は、この26名は溶接として実習に入っており、実際に溶接実習をやっていたということらしい。断定的に言えないのは、実習機構からの正式の判断が明らかにされていないからである。
 ただ、このことはまさに青天の霹靂ともいうべきものであった。一体、実習機構はどのような調査に基づき、どのような判断で日立の提出した実習計画を認めなかったのかという疑問が大きく湧き上がった。では、解雇され、すでに帰国したフィリピン実習生や、まだ滞在している実習生たちはどうなってしまうのか?この間の問題の前提が崩れてしまうほどの衝撃であった。
 もちろん、26名とはいえ、実習再開と3年間の実習が最後までできるようになることは喜ばしいことである。しかし、一方で、日立製作所やフレンドニッポンへの受入停止といった厳しい処分が遠のいたのではないかという疑問が膨らんだ。それは実習再開に臨む実習生たちを再び「受入停止処分」でもって帰国させるとは考えにくいからである。
 今回の日立製作所笠戸事業所での大量解雇、強制帰国問題は、現在の技能実習制度の持つ大きな欠陥を白日の下にさらけ出した。それは「国際貢献」という建前と「安価な労働力の導入」という現実との乖離である。日立のフィリピン実習生たちは、この乖離の狭間で、指示された労働をこなしていながら「正しい実習を行っていなかった」という理由で、帰国を迫られ、実際に帰国せざるを得なかったのである。
 三菱自動車、パナソニックへの処分
 2019年1月25日、法務省と厚生労働省は、三菱自動車とパナソニックらが国に提出していた技能実習計画の認定を取り消した。三菱自動車は実習計画と異なる作業=不正実習をさせたこと、パナソニックは労働基準法違反が確定したことを問題としていた。この結果、この2社は今後5年間、新たな実習生受入ができなくなり、新在留資格「特定技能」の受入も同期間、できなくなる可能性が高まった。
 三菱自動車への処分は、日立笠戸事業所と全く同じ内容であったため、前述の判断は間違っていて、むしろ三菱などより重い処分が出る可能性が高いという判断に至った。なぜなら、三菱や日産は、不正実習を素直に認めて改善に向かっているのに対して、日立は、中西会長を始め、不正実習はなかったと事実さえも認めていないからである。
 ただ、日立製作所や協同組合フレンドニッポンが処分を受けるとなると、現在もなお実習している約200名の実習生たちが解雇される危険性があり、予断を許さない情勢にあると言える。

出雲村田製作所での闘い
 現在、島根県出雲市に約3000人、大田市に約400人ものブラジル人が住んでいる。その多くは日系3世とその家族である。ほとんどの人が出雲村田製作所、イワミ村田製作所で働いている。
 村田製作所はパソコンや携帯電話等の電子部品を製造する大手企業である。リーマンショックの前まではここで働くブラジル人の数は400人から500人くらいだった。当時のメンバーはほとんど派遣切りの嵐の中で帰国している。近年、アップル社などの注文が激増し、人手不足を補うため、大手派遣会社が積極的にブラジルから呼び寄せているため、ブラジル人労働者は急増した。
 主にふたつの大手派遣会社が介在しているが、派遣会社と村田製作所の契約は請負契約であるため、彼らは派遣労働者ではなく、派遣会社の有期契約社員である。2か月の契約を更新しながら働いている。
 昨年はじめから、出雲で働くブラジル人の相談者がスクラムに来るようになり、7月22日に、出雲にて説明会を行った。50名を超えるブラジル人が参加した。当日10名の組合加入があり、年初からの個別相談で加入した人も含めて20名を超え、
スクラムユニオン・ひろしまフジアルテ分会とアバンセ分会を結成した。現在2分会合わせて約×××人が加盟している。
 この2つの派遣会社は、外国人労働者を受け入れる姿勢や待遇に違いはあるものの、コミュニケーションを含めて労務管理においては体制が整っているとは言いがたい。そこからくる不満が募り募ったところで、スクラムにSOSが発せられた。労務管理の体制は、直接的には日系ブラジル人のリーダーと、やはり日系ブラジル人の監督者が取り仕切っている。このリーダーや監督者のパワハラ、えこひいきが横行し、不満が多く出てきている。例をあげると、ジョブローテーションが公平でなく、気に入らない労働者にはきつい仕事をずっと続けさせ、仲の良い労働者や身内には楽な仕事をさせている。残業が毎日3時間あるが、体調の悪いときも有り、残業を断ると「注意書」を書け、「訓告」「警告」などと脅しをかけられたりする。また、ブラジルに一時帰国したいが、リーダーと仲が悪い人は「日本に帰ってきたとき家も仕事もない」と言われた、身体がきついので他の仕事に変えて欲しいと要求すると「お前には働く場所は無い、辞めろ」と言われた等々数多くのパワハラ、差別が横行していた。
 急激な生産量の増加とそれに伴う労働者の急増で、リーダーや監督者の教育訓練は全く追いついておらず、生産計画をこなすことだけに意識がいっている。労基法など意識にない。そこからくる不満も大きい。ブラジル人は、お盆休みなどは関係なく5勤2休のシフトで働いている。お盆に出勤しても25%はつかないが、有休を使う権利はある。しかし、リーダーは「ブラジル人は休みはない、休むなら欠勤、訴えるなら訴えろ」などと脅しをかけてくる始末である。
 組合に結集してくる労働者の口から共通して出てくる言葉は、管理者たちは「リスペクトがない」ということであった。労働者は物ではない、人と人との関係でもっと相手に対して尊厳を重んじるべきだという訴えである。このことは、組合でも重視して取り上げているが、まだまだ改善されているとは言いがたい。
 これまで、出雲も大田もブラジル人は、5勤2休のシフトで働き、必ず毎日3時間の残業があった。残業時間は月60時間を超えていた。このことは、出稼ぎ労働者としての要求には一定の満足度はあった。しかし、働き方改革法の下で労働基準監督署からの指導も有り、4勤2休体制に移行された。出雲は今年の4月から、大田は5月26日からシフトが変わっている。労働者の心身の健康面を考えると悪いことばかりではないが、労働時間の減少で当然のことながら収入は下がる。
 このことと合わせて、大田では今深刻な問題が生じている。昨年末から生産量が減っているという情報は労働者から寄せられていたが、4月末の団交で会社から「かなり生産量が落ちている」と報告がされた。団交直後、もともと4勤2休は7月からの予定だったが前倒しで5月26日から実施するという連絡があった。米中貿易摩擦の影響で村田製作所の生産に影響が出ており、生産量の減少が一時的なものか、長期的なものかさえわからないということであった。
 こうした状況は、労働者は日々の労働の中で肌身で感じており、解雇や自宅待機が発生するのではないか、どのくらい収入が減るのかといった不安が広まっている。こうしたこともあって、5月半ばの団交には執行委員のみならず、多くの組合員の参加があった。会社とは、解雇者を出さないことと残業はできる限り保障するという確認は取れているが、収入減少に対する何らかの補償金についてははっきりした回答はなく、今後詰めていかなければならない。そのためにも、組合員を拡大し陣形を整えていかなければならない。

 愛トラベル闘争
 2019年4月17日に行われた柳楽、三原らによる2組結成、組合分裂策動を、どのように考えるべきか?
 何が問題なのか?
 ここには愛トラベル労組との路線的、方針的分岐が存在している。
*われわれスクラムユニオンは、怠け者を作るために労働運動を行なっているのではない。正直に一生懸命働くこと、それにふさわしい賃金を実現すること。これがスクラムユニオンの目指すところである。
*2組は、ずるをして怠けて、お金だけは沢山取りたいという要求を持っている。
 例えば、バスを洗うのにそんなに一生懸命、丁寧にやらなくてもいい。だらだら時間を潰して、その分賃金をもらえばいい。休憩時間は、「自由時間」なのだから、何をやっても許される。釣りをやっても、バイクを修理してもかまわない。規律や規則で縛り付けられたくない。もっと気楽に仕事をしたいというものである。
 労働組合の持つ優越性と限界性
 労働組合とは経済組織であり、労働条件の向上、労働環境の改善を目的として活動するものである。そして、会社と交渉する上でも団結することが求められる。ここには、仲間みんなの利益を実現しなければ、自分の利益を実現することができないという労働者階級の優れた一面が内包されている。しかし、経済組織であるが故に、ブルジョア的なエゴイズムによって常に分断されるという弱点も持っている。具体的には、「自分さえ良ければいい」「時間さえ過ごせば賃金をもらえるのだから、適当に働けばいい」「一生懸命働く必要はない」「一生懸命働けば、労働時間が短縮され、賃金が減ってしまう。会社を儲けさせるだけだ」という考えに支配されていく危険性がある。だから、労働組合は団結して会社との交渉を行うとともに、ブルジョア的なエゴイズムと闘うという内的な闘争を絶えず行なっていかなければならない。そうしなければ、組織が腐敗していく。
 今回の柳楽・三原らの2組策動、分裂行動は、まさにこれらの内的闘争が組織的に目に見える形で外化したものである。
 会社はどちらを選択するのか?
 事態が目に見える形で、組織的にも分裂というはっきりした現段階で、中間的な選択はあり得ない。すなわち、双方をなだめて「仲良く」やっていってもらいたいというような選択はない。一遍にどちらかの組合を排除するとか、潰すことはできないが、問題は会社がどちらの側に立って、物事に対処するのかという立場の問題である。
 この点に関しては、社長自身が会社の行く末を見据えて判断しなければならない。会社をどのように建設し、運営していくのか。その方向性が問われているのである。
 怠け者たちにヘゲモニーを与え、シロアリが少しづつ木を朽ち果てさせるように会社をだめにしていくのか、それとも一生懸命働くものたちと手を結び、規律ある会社としていくのか。今がその分岐点である。
 われわれスクラムユニオンは、会社と協調協力して事態を改善していこうという気持ちは持っている。だが、会社が怠け者たちと一緒にやっていくというのならば、その選択はあり得ないだろう。

 せとうちバス闘争
 瀬戸内運輸広島営業所で働く運転士は、出張時にいくら長時間働いても「実働7時間15分働いたとみなす」という残業代未払いという労基法違反の是正や、1日でも欠勤があれば補償されない「年間給与補償制度」の改善を求めて、一昨年スクラムユニオン・ひろしまに加入し、会社と団交を積み重ねてきた。しかし、会社は、実質的に交渉権限のない者による形ばかりの交渉を繰り返してきた。これは明らかに誠実交渉義務違反である。
また、会社は、昨年7月以降、団交開催場所を愛媛県今治市の本社とすることに固執しはじめた。この背景には、ユニオンに経済的負担を負わせ、ユニオンの弱体化をはかろうとするねらいがある。団交の開催場所は、労組合員の就業場所等、当該組合と使用者の労使関係が成立している場所を基本とするとされている。会社が四国本社での団交に固執することは、合理的な理由のない事実上の団交拒否である。よって「広島営業所での団体交渉に応じようとしないことは、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である」として、ユニオンは昨年9月20日に県労委に、会社が団体交渉を広島営業所において開催することに応じることを求めて不当労働行為救済の申立を行った。
  会社は不当労の審査のために昨年二度来広し、県労委の委員のいる前で団交を行い、以下を労使で確認した。①事務折衝の広島での開催と団交への社長出席、②新たな賃金制度については、制度移行に伴い、組合員に実損が出ないように最低でも現行年間給与ベースは確保させる、③今後、基本給については春闘時に団交において決定する。
これは県労委をも活用した闘いの成果である。
  この力を背景に、せとうちバス分会の組合員は、労働時間の見直し(年間休日増)とセットで基本給の引き上げ、通勤手当の支給、組合員と非組合員との差別的取り扱いの禁止を掲げて、19春闘を闘った。
  会社は、基本給の引き上げについて、累積赤字7億円という経営状況の厳しさと、会社と癒着した本社組合との妥結を理由に、本社の非正規社員の昇給額(日額70円)をスクラムの組合員にも適用するという超低額引き上げを回答した。
  ユニオンは、6月15日までの半期が経過した時点で、総支給額が190万円に満たないことがないように、7月に夏季賞与を支給することを再確認し、組合員へ年間給与380万円を補償することを再確約させ、賃上げについては不満ではあるが確認した。
今後も、ユニオンは団結を打ち固め、残された課題である通勤手当の支給や基本給の大幅賃上げ実現、さらには正社員化をめざして闘いを継続していく決意である。

  本四バス分会の闘い
  本四バスは、昨年、①貸切バス運転士の実労働時間が所定労働時間に達しない部分については休業手当支給とする②走行キロ手当を減額するという労働条件の不利益変更を内容とする就業規則の変更を強行した。
  就業規則を強引に変更しても、就業規則の変更が合理的なものでない限り、労働者は変更後の就業規則に拘束されない。スクラムユニオン・ひろしま本四バス分会の仲間達は、「就業規則の変更の撤回」を獲得目標として、要求実現のための手段として昨年11月7日、8日に、ストライキを構え、闘う体制を準備した。そして、ストライキを背景に会社を追い詰め、昨年11月の最終団交において①社長の謝罪②労働者代表を従来の組合員にもどす③閑散期においても、運転手が確実に就労できるように就業の機会を与えることを会社に確約させ、労働協約を締結し、分会員の不利益を最小限に押しとどめた。
  本四バス分会の仲間は、この闘いのなかで培われた団結力を背景に、基本給引き上げ、高齢者の労働条件改善、乗務員の正規社員への登用などを掲げ、19春闘を闘った。
  2回にわたる団交において、基本給については、一律5,000円引き上げを要求に対して、正社員と同額の月額4,000円の引き上げを勝ち取った。
  また、諸手当については、これまで有期雇用時には支給されていなかった家族手当について、この4月から正社員と同等・同額の支給を勝ちとった。そして、昨年10月に無期雇用契約に転換した組合員全員について、正社員とするという大枠を会社と確認した。
  現在、正社員化した場合、60歳未満の組合員については、退職金が支給されることはもとより、無期雇用転換時の年間給与支給総額を下回らないような措置をとらせることを要求し闘っている。また、2018年10月の無期転換時点で60歳を超えた組合員について、①基本給を引き上げること、②賞与の格差をなくすこと、③退職時又は継続雇用の終了する時点で無期転換した日を起算日とする退職金を支給することでこの間の実損を回復することを要求し闘っている。
  このように本四バス分会の仲間は、会社に対して、正社員化に向けた正式な回答を出さざるを得ないところまで追い込んできた。これは、これまでの闘いのなかで培われた団結力の成果である。これからも、団結力を背景にして、さらに本四バス職場の労働条件の改善を求めていく。

パルタック分会の闘い
 スクラムユニオン・ひろしまは、株式会社PALTACを相手に、2017年3月16日広島県労委に不当労働行為救済申立をした。7回の調査と証人尋問が行われた。2018年3月13日出された命令では、不当労働行為は認められず、申立は棄却されるという不当な命令であった。
 パルタック分会は、このような不当な命令にくじけることなく、パート労働者の待遇改善に取り組んでいった。10年間一度も昇給がなかった状況から、時間給50円の一律アップ、入社から1年目で10円、3年で20円、5年で30円アップという昇給制度も獲得してきた。そして、今年は1階の搬送パートを50円、4階パートを30円、リフトマンを20円アップという昇給を勝ち取った。会社は組合からの要求に応える形は決して取っていないが、繰り返し要求してきた内容を少しずつ実現してきている。未だ低賃金であることは変わりがないが、最低時給を1000円にまで持って行くことは当面の要求となる。職場環境についても、組合が要求するまで、1階の特殊作業と呼ばれる現場(商品の仕分け、検品の現場)には扇風機もなければ電気ストーブさえもなかった。この状況を壁取付け型の扇風機、置き型扇風機の設置という形で徐々に改善してきた。こうした職場環境の改善をさらに進めていくことは極めて重要である。
 
 ブラック企業 安芸高速運輸(株)との闘争
 上岡さんは、広島県廿日市市の安芸高速運輸(株)に長距離トラック運転手として勤務していた。長時間労働の上、労災隠しに会い、不当にも解雇された。解雇後、脳溢血を発症したが、廿日市労基に労災申請し労災が認められた。
 安芸高速運輸を相手取って起こした不当解雇撤回と残業代未払い賃金請求訴訟は全面的に勝利した。ところが、安芸高速は自らの責任を逃れるために倒産を画策し、広島トランスポートに営業活動も引き継いだのである。そして、突如として広島高裁に控訴し、控訴審中に倒産手続きを完了させた。このことによって、裁判そのものが消失してしまった。 上岡さんは、広島トランスポートと社長を相手取って損害賠償請求訴訟を並行して起こした。裁判は和解という決着を見た。結果は決して満足のいくものではないが、上岡さんの生活を見据えてのものであった。

 呉地区本部の活動
 これまで呉地区本部を指導し、支えてきた由木執行委員が体調不良のため活動ができなくなった。極めて残念なことだが、由木執行委員はその任から外れることとなった。同時に、彼が中心となって取り組んできた呉地本も組織的に維持することができず、中央本部の直轄となり、呉地本は解散することになった。

 外国人技能実習生問題の取り組み
 これまで、われわれは、中国やフィリピンなどの国々から来た数多くの技能実習生の相談を受けてきた。相談に来た技能実習生らは、残業代の未払、賃金の未払、あるいは、家賃などの名目で過度に高額な経費を給料から天引きされるなど、きわめて悪質な待遇を受けていた。また、多くの場合、受入企業側にとって不都合なことがあれば、すぐに解雇して帰国させると脅されていた。
 2017年11月1日に、新たに「技能実習法」が施行され、外国人技能実習生の人権を守るという建前が強調されている。そのための「技能実習機構」が設置され、問題があれば対処していくことになった。
 現在の技能実習制度は、建前と実際が見事なまでに乖離している。日本の優れた技術の移転などほとんど行われておらず、3年間働き続ける安価な労働力として利用されてきたのが現実である。「現代の奴隷制度」「3年間の人身売買」と呼ばれるゆえんである。

 中亜国際協同組合、マルコ水産
「一時帰国」の名を借りた強制帰国を許すな!
 今年1月末、インドネシア人技能実習生リキ・アムルーラさんが、受入協同組合の下での語学研修中に「日本語ができない」という理由で強制帰国させられた事件である。
 リキ・アムルーラ(RICKY・AMURULLAH)さんは、1993年2月21日生まれ(25歳)。2018年1月9日に来日、在留期限2019年1月9日であった。2月8日まで研修を行い、安芸津のカキ養殖作業所で働く予定であった。契約期間は3年間で、給料額も明記された契約書にサインした(旧法の下での契約)。日本に来るため、畑を担保に70万円の借金をした。 
 2018年1月30日、強制帰国させられそうになったリキ・アムルーラさんが、友人の手を借り、逃げてきて保護された。翌31日にスクラムユニオン・ひろしまの事務所を訪れた。強制帰国の理由を聞くと、受入協同組合である中亜国際協同組合から「一緒に来た実習生に比べ日本語ができない、明日帰国させる」と言われた。本人の意志を確認したところ「日本で3年間働きたい」という気持ちが強く、「ユニオンに加入して闘う」ことが確認された。すぐにこの日、受入協同組合である中亜協同組合と団体交渉を行なった。
 中亜国際協同組合の主張は、「強制帰国ではなく、一時帰国である。日本語の勉強が他の実習生に比べ遅れているので、母国の送り出し機関で日本語の勉強をさせる。態度も悪いので、両親とも会わせて気持ちを改めさせたい。3年間労働させることの確約はすぐにはできない」というものであった。
 ユニオンは「日本語ができないことを理由に帰国させるのは問題である。送り出し機関の教育が不充分であったとしても、それを承知で受入れ来日させた以上、3年間の実習は受入協同組合の責任である。母国で3年の契約をし来日させたのだから、帰国させるなら賃金補償をしなければならない。仮に一時帰国でも、帰国している間の賃金、往復の旅費の補償が必要になる。一時帰国は適切な判断ではない」と主張した。
 最終的に、①後日、中亜協同組合の飯田から連絡する。②リキさんは、答えが出るまで座学研修を今まで通り続けさせるという確認で団交は終了した。
 ところが、電話しても出ず、飯田からは何の返事もなかった。2018年2月9日、団交要求書をFAXした。すると「すでにリキは帰国させた。2月1日の便で帰らせた」「リキには組合脱退届を書かせる。母国から送らせる。」「団交はしない」「あくまで一時帰国だ」などと述べてきた。組合からは、団交での確認を無視し、何の連絡もなく、しかも団交翌日に帰国させるなど、ふざけた話であると激しく抗議した。
 2018年2月22日に団交要求書を送付した。飯田から、折り返しFAXで、1月31日付のリキさんの脱退届と2月13日付「平成30年1月9日入国のRICKY・AMURULLAH 平成30年2月1日一時帰国の件経緯」と題する書面が送られてきた。「本人の意志でユニオンを脱会したので団交は受けない」という意思表示であった。 
 不当労働行為救済申立にむけて
 上述したように、中亜協同組合は明確に団交拒否を行なった。同時に、リキ・アムルーラさんにユニオンからの脱退を強要し、脱会届を書かせた。これらは、労働組合法第7条第2号ならびに第3号に当たる不当労働行為である。
 ここで問題となるのが、中亜協同組合に使用者性があるのかどうかである。通常、使用者とは雇用契約関係にある事業主を指している。単純にそれを当てはめれば中亜協同組合は使用者ではないことになる。
 しかし、技能実習制度においては受入協同組合を通じて各事業主の下に配置され、その事業主と雇用契約関係を結ぶ。しかも、日本語学習などを含む2か月間の座学研修においては、実習生たちは受入協同組合の指揮下にある。リキ・アムルーラさんは、疑いもなく語学研修の最中であった。すると、「朝日放送事件」での最高裁判断である「労組法第7条2号の『使用者』とは、労働契約上の使用者のみならず、労働契約関係に隣接ないし近似する関係にある者が、労働者が加入する労働組合から団体交渉を要求された場合に当該要求事項について現実的かつ具体的に支配・決定することができる地位にある限り、労組法上の『使用者』として、当該要求事項について団体交渉応諾義務を負うと解される」という内容に、まさに合致する。
 中亜協同組合は、直接の雇用主ではないが、「労働契約関係に隣接ないし近似する関係」にあり、「現実的かつ具体的に支配・決定する地位」にあった。
 このことから言えることは、中亜協同組合がすべて取り計らって強制帰国を行なったということである。リキさん本人は、借金返済のこともあり日本での就労を強く望んでいた。「一時帰国」などという詭弁に欺かれることなく、リキ・アムルーラさんの権利を守り、日本での就労を確保し、この間の補償を勝ち取るつもりである。

アスベストユニオン、アスベスト問題
 中電工を提訴
 中電工に長く働き、悪性胸膜中皮腫を発症したAさん(山口県在住)は、労災申請時において会社の協力が得られなかったこと、同僚らの健康被害を懸念し、中電工の健康対策の充実と補償制度の制定を求めてきました。Aさんはアスベストユニオンに加入し、団交を行なってきましたが、会社は訴訟で争いたいと回答してきました。
 アスベスト対策弁護団の藤井弁護士にお願いして、2月4日、広島地方裁判所に石綿被害損害賠償請求訴訟を提訴しました。
 原告のコメント(要旨)
 私は長年にわたり、建設現場で電気設備作業に従事しました。石綿に暴露したとはっきり記憶しているのは、昭和44年から平成3年頃までの期間、大型店舗の大規模工事に携わった期間です。
 平成29年秋に息苦しさを自覚し、入院し、悪性胸膜中皮腫と診断されました。抗がん剤治療などをしていますが、大変不安な気持ちで一杯です。他にも不安を抱えている同僚もたくさんいると思います。会社のために働いてきた労働者のためにも、中電工において企業補償制度が創設されることを望みます。そして、今回の裁判が、一日も早く解決できるよう中電工役員の皆さんにお願いします。

 中皮腫サポートキャラバン隊in広島
 3月30日、中皮腫サポートキャラバン隊による講演会・交流会を行なった。
 キャラバン隊の誕生は、2017年5月。それは、くりちゃんこと栗田英司とみぎちゃんこと右田孝雄、この二人の出会いから始まった。
 二人は「長期生存している患者、元気な患者を全国飛び回って探し、明るく元気に前を向いて生きている患者の闘病記を作って、全国の中皮腫患者を励まそう。そして、全国の患者さんと交流しよう」という志を持って『中皮腫サポートキャラバン隊』を結成した。
 ピア・サポートについて
 中皮腫サポートキャラバン隊ではピア・サポートを大事にしている。ピア・サポートとは一般に「同じ立場の人に支援」ということである。キャラバン隊が言っている「ピア」とは、全てのアスベスト被害者のことを指している。
 にぎやかに交流
 この日、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会広島支部の主催で、20数名の参加者の下、にぎやかに講演・交流会を行なった。キャラバン隊の右田さん、田中さん、今村さんのお話、また、家族会の本部から松島さんご夫妻にもお話しいただいて、非常に勉強
になった。
 キャラバン隊は、中皮腫の患者さんご自身が立ち上がって活動を始めたところに画期的なものがある。スクラムユニオンとしても、このキャラバン隊の活動を全面的に支援していきたい。
 スクラムユニオンは、これまでもアスベスト問題には取り組んできた。アスベスト被害に遭った労働者の労災申請、環境再生保全機構への申請、石綿健康管理手帳の申請なども手がけてきた。アスベスト被害をなくすこと、アスベストのない社会を実現することなどを目標にして活動してきた。その一環として、「患者と家族の会」広島支部の活動にも関わってきた。広島支部の事務局長は、土屋委員長が兼任している。

戦争法反対!違憲訴訟と労働弁護団、平和運動センター=1000人委員会との連携を強化
  現在、安倍内閣が「戦争のできる国」造りに向けて、さまざまな反動立法、治安立法を成立させている。このことは情勢分析でも明らかにしたところである。これに対して、大きな大衆運動でもって反撃していかねばならない。土屋書記長が平和運動センター、ならびに地区労組会議の幹事になったことも合わせ、平和公園での座り込み活動、平和行進など、積極的に参加してきた。とりわけ、「戦争法」成立以降、安倍は明文改憲を臆面もなく広言している。憲法の明文改憲に反対して取り組まれている3000万人署名活動の象徴的活動である「3の日行動」には、スクラムユニオンとして組織動員をかけてきた。
 また戦争法反対・違憲訴訟には、原告として参加し取り組んでいる。
 反戦、反核、反原発の集会デモなど、今後も組織的に取り組んでいくことがますます重要となるだろう。

 県労協、闘うヒロシマメーデー、CUNNの活動
 19西日本春闘討論集会
 「19西日本春闘討論集会」が、2月16日から17日の2日間にわたり、徳島で、80数名の参加で開催された。スクラムユニオンからも4名が参加した。
  主催者を代表して徳島全労協議長北野さんが挨拶をした。その中で、外国人技能実習生制度の問題の改善なしに、入管難民法を改定し、外国人労働者を安い労働力として入れることは許されない。この問題に労働組合がどう取り組むかを検討することが本集会の課題であると提起された。次に渡邉全労協新議長が来賓挨拶をされ、続いて中岡全労協事務局長が19春闘に向けての基調提案をされた。
  広島国際学院大学の崔博憲教授から「外国人労働者問題とは何か」と題して講演があった。崔さんは、もはや日本は外国人労働者の存在なしには成り立たない社会となっていること、今回の入管法改正により「国際貢献」という「建前」ではなく、「安い労働力」という「本音」がむき出しになった。このことで、これまで以上に外国人労働者が無権利状態に貶められるのではないかと警鐘を鳴らされ、外国人労働者と共生する社会へのアプローチをみすえた新しい労働運動の創造を提起された。
  続いて、土屋委員長も参加して、大阪ゼネラルユニオン、大阪教育合同、スクラムユニオン、全港湾四国地本ユニオン分会による「外国人労働者と共に作る労働組合」と銘打ったユニークなパネルディスカッションが開かれた。

 第89回 闘うヒロシマメーデー
 第89回闘うヒロシマメーデーは、全港湾中国支部、郵政産業労働者ユニオン、スクラムユニオンの三者で実行委員会を形成し、開催した。午前中、県労連の中央メーデーに全港湾川田常任顧問が参加し、代表して挨拶を行なった。そして、闘うヒロシマメーデーには県労連八幡議長が来賓としてあいさつをした。このような相互交流は反安倍統一戦線を作り上げていく上でも重要な取組であった。
 闘うヒロシマメーデーでは、山田弁護士から「文書改ざんと民主主義」と題して講演を受けた。また、実行委員会構成団体から、それぞれ闘争報告を受け、メーデー宣言を採択した。

 コミュニティユニオン全国ネットの活動
 第30回 コミュニティ・ユニオン全国交流集会「東北いわて集会」が、10月6日、7日の2日間にわたり、290名の参加で盛大に開催された。スクラムユニオンからも5名が参加した。
 コミュニティ・ユニオンの定期総会では活動総括と方針が満場一致で採択され、「コミュニティ・ユニオンに期待すること」と題して、呉学殊さんの記念講演があった。
スクラムユニオンも全国のユニオンと交流を深め、さまざまな教訓を共有することができた。全国のユニオン活動に学びながら、スクラムユニオン・ひろしまをさらに前進させていかなければならない。

 反貧困ネットワークでの活動
  現在の労働者階級の状態は、資本の搾取の前に相対的貧困、絶対的貧困に落とし込められている。それゆえ、労働者からの相談を受けていると、単に労働問題としてではなく、生活相談としての側面も合わせ持っていることが往々にしてある。貧困と格差の増大が一般化している。その中にあって、反貧困ネットワークとの連携、共同作業を強めていくことの重要性は増している。
 年4回行われるエールエール地下広場での生活相談には、毎回全日程参加してきた。そこでの弁護士や司法書士などを初めとする専門家たちとの連携も強めてきた。また、シェルターの利用なども通じて、労働者や技能実習生たちを保護して援助してきた。このことはスクラムユニオンの単独の力では到底できなかったことであり、感謝するとともに今後とも連携を強めていかなければならない。

 2019年度活動方針

 地域ユニオンとしての地位を打ち固めよう
 スクラムユニオン・ひろしまが、地域・職域に根ざした労働組合として、労働者の階級的利益を守り抜くことのできる力を蓄えることが必要である。その具体的な目標と課題は以下のようなものである。
はじめに当面の重要課題を明確にしておきたい。
1,平和憲法を守る闘いを積極的に構築していく。3000万人署名を推し進め、憲法の明文改憲に断固反対していく。憲法改悪の国民投票に備える。安保法制=戦争法の実施に反対し、戦争法そのものを廃止に追い込んでいく。「共謀罪」に反対する。
2,脱原発に向け、大衆的闘いを組織していく。
3,非正規雇用労働者の組織化とともに、階層分化の元凶である労働者派遣法の廃絶に向け、闘いを組む。派遣切りに反対し、社会的なセーフティネットを構築していく。
4,偽装請負をなくし、派遣労働者、非正規雇用労働者の正社員化を推し進める。労働契  約法18条を積極的に活用し、直接雇用を進める。
5,地域の労働組合との共同行動を追求する。
6,最低賃金を全国一律1500円、いますぐ1000円を実現していく。
7,現代の奴隷制である外国人技能実習生制度を廃絶し、新たな移住労働者受入制度を確立する。「特定技能制度」という移民政策に正面から向き合う。

①組合員を拡大し、恒常的な200名の組織化を行う。
 同時にサポーター会員の50名組織化を行う。
 2018年度は200名の組織化を達成した。しかし、それは日立の実習生を中心とした84名の実習生の加入が大きな力となったからである。現在フィリピンに帰国したメンバーを差し引くと、200名には達していない。そのため、恒常的に200名の組織化は目標としてやり遂げなければならない。スクラムユニオン・ひろしまへの相談者の数が極端に変動したということはない。むしろ、出雲におけるブラジル人労働者からの相談に見られるように拠点的なところからの相談は増えている。こうした分会拠点での活動の強化、並びにふれあい交流会などを通じて、組織活動に参加するメンバーの教育強化を図りながら、組織の活性化、拡大を図っていく。また、職域における分会の結成に力を注ぐ。
 スクラムユニオン・ひろしまを取り巻く支援者を積極的にサポーターとして組織化する。50名のリストアップを行い個別に工作して組織する。

②執行委員会の機能を高める。
 執行委員会の内部での機能分化と協力体制をさらに推し進めていかねばならない。特に教宣体制の強化を通じた恒常的な情報発信が必要である。今年度はスクラム編集委員会、写真班、ホームページ管理運営委員会などをさらに機能化する。また、組織委員会を構成し、ふれあい交流会や組織的取組を活発化する。このような活動を充実化して多くの労働者とのつながりを作っていかねばならない。
 また、外国人労働者が多数いる現状からしても、組合活動に精通した通訳の養成、確保が緊急の課題として浮上している。そして、後継者の要請に力を注がなければならない。組織の後継者造りは待ったなしであり、若い組合員を中心に積極的に養成していく。人はいるのであり、適材適所の観点から、積極的に執行委員、特別執行委員に形成していかねばならない。

③財政基盤の確立、組合費の確実な納入、カンパの集中
 組合活動を行ない、闘争を円滑に進めるためには、財政基盤の確立が必要である。財政問題は、組織問題であり、組合員の政治自覚の問題である。それゆえ、組織整備を行うとともに、教育を重視し、組合費が確実に集中されるようにしていく。また、ボーナスや闘争勝利に基づく資金カンパが行われるようにする。闘争勝利の場合の解決金などの10%集中や、サポーター(賛助会員)の積極的な拡大をめざす。また、組合加入時の入会金2000円や、再加入時の組合費3か月分の徴収、遠距離の場合の交通費カンパなど、実態に合わせた改善を行なう。組合費の自動引き落としなどの方法も考えていかなければならない。

④外国人労働者・技能実習生とともに、パート、アルバイトなどの非正規雇用労働者の組織化に力を注ぐ。
 スクラムユニオンは、外国人労働者が多数をしめるという特徴を持っている。このことはインターナショナルな運動を進める上でも良いところである。今後ともこの傾向は続くであろうし、外国人労働者の組織化をやりきっていかねばならない。特に、外国人実習生の組織化が現実的にも求められている。さらに、改定入管難民法の施行により、2019年4月からは「特定技能1」という外国人労働者が増加していくことが予想される。このような外国人労働者の生活と権利を守るためにも組織化に力を注ぐことが必要である。
 同時に、日本人労働者の組織化により力を注いでいかねばならない。そのひとつの目標として、パート、アルバイト、派遣などの非正規雇用労働者の組織化に力を注いでいく。この作業はNPO法人 非正規労働相談センターとの連携や、広島労働弁護団との連携、「反貧困ネットワーク広島」との連携をもって行なう。パート、アルバイト、派遣などは簡便な労働力として、景気の調節弁とされ、いとも簡単に解雇されたり、有給休暇も取得できずに酷使されている。このような待遇の仲間たちを、同一価値労働・同一賃金の原則の下に労働条件の改善をはかりつつ、組織化していく。

⑤NPO法人 非正規労働相談センターとの連携を強化し、非正規雇用労働者とのつながりを強化する
 NPO法人 非正規労働相談センターが設立されことは非正規雇用労働者の組織化にとって、大きな武器を手にしたことを意味する。まずもって、NPOとしての公的機関としての位置を占めたことによる優位性を活かして、宣伝活動に力を入れていかねばならない。NPOとして動ける人材の補強や、財政力の強化を図り、連動して前進していく。

⑥県労協の活動を強化し、各地の地域ユニオンとの連帯を強化する。
 県労協に結集する郵政ユニオンの仲間、福山現業の仲間と連帯を深め、ともに新たな労働運動潮流を作り出す努力を重ねていく。福山ユニオンたんぽぽとの連携はさらに具体化していきたい。同時に、コミュニティユニオンに結集する各地のユニオンと連携を深め、全国的な運動形成に関わっていく。中四国ネットワークを活かして、中四国の仲間との連帯を深めていく。われわれが直面している課題は、おそらく他の地域ユニオンでも抱えている問題である。経験や教訓を学びあいながら、ともに前進していく。

⑦最低賃金を引き上げよう!全国一律、いますぐ1000円、めざせ1500円
  現在の最低賃金は、時間額で全国平均がようやく800円を越えたところである。しかし、広島が844円であり、中四国ではもっと低い額となっている。これではとても生活できる賃金ではない。「人間らしく」生活するためには、最低でも時給1500円が必要である。最賃の影響を最も受けるのがパート、アルバイト、派遣などの非正規雇用労働者である。また、トラックやタクシーなどの運転手、中小企業で長時間にわたって働く正規労働者も少なからず影響を受ける。彼らはほとんど最賃に近い賃金で労働しているからである。
 貧困と格差が拡大する中にあって、最低賃金引き上げ闘争は労働組合にとって重要な課題である。全力で最賃闘争に取り組む必要がある。「いますぐ1000円、めざせ1500円」は共通の課題とならなければならない。
 具体的な取組としては、広島県で開催される地方最低賃金審議会への傍聴の取組、意見書、意義申出書の提出、審議会での意見表明など、最賃法で定められた手続きを利用し、審議会と決定権者である地方労働局長に労働組合としての意見を伝える。特に審議会は原則公開と定められているものの非公開で、密室審議されているのが現状である。審議を公開させ、公明正大な金額決定を実現する必要がある。最賃引き上げ署名、街頭宣伝活動など、良心的な労働組合、市民団体と協力して最賃闘争を社会問題化していかねばならない。

⑧反貧困ネットワーク、広島労働弁護団、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会、アスベストユニオンなどとの連携を深め、地域ユニオンとしての役割を果たそう。
 反貧困ネットワークの活動などに端的に表されるように、現在の労働運動は生活問題をはらみながら進展している。そこでの多様な結びつきが、労働運動全般、取りわけ、スクラムユニオンの活動に大きな力を与えている。広島地域での反原発運動にしても、ノンアスベスト社会の実現にしても、このような市民運動との連携は不可欠である。その中で、スクラムユニオン・ひろしまとしての役割を果たしていくこと、労働者の生活と権利を守る闘いを組織していくことが必要である。

⑨ストライキ権を確立し、いかなる時でも闘える陣形を作り上げよう。
 地域ユニオン活動の中で、闘争していくにあたって、ストライキ権の確立は重要である。
もちろん、闘争の中で、当該の労働者、分会、地区本部の確認は取っていくが、大会決議として、向こう1年間のストライキ権を確立する。

⑩関西生コン支部への弾圧を許すな!
関西生コンにかけられた弾圧は労働運動全体にかけられたものである。憲法に保障され、労働組合法で具体化された労働組合の団結権、団体交渉権、争議権を一切潰していくという策動を許してはならない。これは安倍政権が推し進める「共謀罪」の先取りである。
 普通の労働運動を行なったら、威力業務妨害だとか、脅迫だなどとして警察が逮捕・起訴し、拘留するなど、まさにファシズムの手口である。われわれはこのような労働運動への弾圧を傍観する訳にはいかない。関西生コン支部とともに闘うことを決意する。

 結語
 情勢の中でも分析したが、労働者の権利はことごとく切り下げられ、あるいは奪われている。労働者の抱える問題は、労働問題にとどまらずに生活問題、生きていけるかどうかという問題にまで広がってきている。こうした状況に対応できるように奮闘していかねばならない。とりわけ、福島第一原発事故に伴い、日本の国家の未来、社会の未来が問われている。すべての犠牲を労働者人民に押しつけ、政府・資本家階級は、戦略的に労働者階級の地位を押し下げ、搾取し、収奪を強化している。そして、安倍政権は露骨に日本を国家主義の方向へ、戦争のできる国へと変えつつある。改憲の動きを許してはならない。労働法制の全面的改悪に反対しよう。われわれは日本の未来に無関心であってはならない。
  われわれは、つねに労働者階級の利益を守ることを第一の原則とし前進する。本当に苦楽をともにできる組織を作り上げ、日本の労働運動の変革に向かおう。
 労働運動に哲学を!労働者の階級的連帯を実現しよう!